鈑金塗装施工手順(自社)

鈑金塗装下地

自社鈑金工程ですが、まず入庫してからサークルチェック(最初の状態把握や入庫時に有るキズ凹みなどのチェック)をし、お客様に頼まれた施工場所がどんな状態なのかよく確認します。
自社では安く済ませるやり方や完璧に直すやり方によって、パネルを交換したりはしますが基本素人の方が見ても分からない程度に持っていかないとお金はもらえない物です!
凹みがある場合は反対側の同じ箇所を見て元の状態がどんなものか頭に入れておきます。
最近は鉄板自体が薄い為強度を出す為に至る所にプラスライン(鉄板を折り曲げて有る場所で強度を出す為)が有り複雑な物も増えてきて居ます😫
昔は単純な真っ直ぐなラインが多く見られましたが最近は曲がったプレスも多い為再現が難しくなってきて居ますね!ラインも尖った物やある程度丸みのある物と結構技術のいる物です^_^
凹みがひどいものは中古のパネルや新品パネルに交換し、色を塗った方が仕上がり的にも、技術的にも楽ですが新品パネルだと部品だけでも一般的に5万〜10万程度しますし、
新品の場合シーリングや中の色塗り、部品の移植等高額になる物です😅ですからパテ処理対応がまだ多いと思います。一度凹んだ物は鉄板も伸びているので簡単では有りません
反対側を参考にパテを付ける前に凹んでいる場所は出来るだけ元の状態にもどす必要があります(パテも規定の厚み以上盛ると割れたり、とんでも無い量を使う為)元の塗装を削り落とし鉄板のみにします。(傷、凹み箇所のみ剥離)凹んだ部分を専用のスタッド溶接機で引き出す為鉄板を剥き出しにしないと溶接が付きません。丸いワッシャー型の物や先の尖った物を凹んでいる場所によって使い分けながらくっつけていき徐々に引き出していきます。無理に出すと鉄板が伸びてしますのでベコベコになり”絞りと言う工程も必要としてきます。出来るだけ元の状態になるまで出し過ぎず、そして低過ぎず戻してあげるのは長年の経験が無いと出来る物では有りません。ある程度引き出して上げるとパテの工程が楽になります。パテを使う量が少ければ材料代やトラブルの原因も軽減されます。パテの厚盛は割れ易くなりそこから水が入り錆びてしまいます。鉄板を素手で触る事も避けなければなりませんので軍手は必要になります。手汗で簡単に錆が出てきます!
引き出し作業は大分時間も要する為職人によってはある程度でパテをつけてしまう人や、パテ無しで完璧に仕上げる人もいてやり方は人それぞれです。パテにも一度に盛れる物や薄付けしかできない物も有り様々使い方が異なります。最初はファイバーパテや鈑金パテ等厚盛のできる物を塗り乾かしては削りを繰り返し元の形に復元していきます。上手い人はパテの回数を減らせるので作業が早い人もいますが個人差があります。ある程度形、元の高さになったらポリパテを使用し塗装とのエッジを慣らしたり、巣穴を取るのに使う柔らかいパテです。ファイバーや鈑金パテ等は基本硬化剤と混ぜて使いますが盛れる分パテの中に空気が入り易く硬化剤と混ぜる際に空気抜きをしながら混ぜていく物ですがあまり空気が取れない物です。盛れるパテはある程度固さがあり、盛れないパテは柔らかめな為空気を抜きやすいので段階に分けて塗り分けていき形にしていく物です。この時平に削っていく作業も技術を伴います。高いのか、低いのか手の感覚を頼りに成形していきます。パテを研ぐペーパーは大体120番から240程度でパテの種類によっても変えていきます。何故荒いペーパーを使うのかについては時間がかかる事や、高い番手だと研磨力が弱い為歪みが出来やすいなどあります。
一通り形を整えたら最低400番程度でパテを研いだ部分のペーパーの目を消したりパテが残っている所よりも大きくサフェーサーを塗装する為パテのついて居ない部分も食い付きを良くする為、足付けをしていきます。塗装は塗料の乾燥している部分は足付け工程をしないと密着不良を起こしすぐ剥がれてしまいますのでパテが残っている部分よりも大きめに足付けしていき巣穴用のウエス等に付け塗り込むタイプのエバーコートなども有りサフェーサーを塗装して行きます。塗装回数は3回程度です。
サフを塗り巣穴がある場合はラッカーパテやポリパテを塗りまたサフを研いでまた塗るを繰り返します。これで下地工程はとりあえずの完成します。下地8割と言う言葉がある様にどんなに塗装がうまくても下地がボコボコして居ては意味がありませんので高い次元で平にかつ元の形にする事が大事です。鈑金屋によっては下地専門の人と塗装専門の人で分けている所も結構有ります。それだけ技術を伴い修行に最低5年なんて話も聞きますね。

塗装編

サフェーサー塗装後1日は最低おきます。乾燥に時間がかかる為季節にもよりますが一晩はおいた方がいいです。乾燥機で炙れば赤外線なんで中と外両方から乾燥でき短縮にも繋がります。厳密にはサフェーサー塗装から1週間は放置しないと完全乾燥はしません(季節により長く自然観察時)
完全乾燥させないと本塗装した後痩せてペーパーの跡などが出てくる物です。時間短縮とトラブル防止の為自社では乾燥機を最低1時間かけてから次工程に移ります。まずサフ研ぎしますが研ぐ前にガイドコートと言う黒い粉を塗ります。これば研ぎ残しを防ぐ為に塗る物で削れていない所は黒い粉が残りパッと見で均一に研げているか、研ぎ残しが無いかを判別出来ます。下処理の段階でパテに塗って研ぐ人もいます。この時のペーパー番手は600以下を使うと塗装では消えません。ベースが入る所は600番で良いですがクリアーのみしか塗装しない部分もある為クリアーのみの場所は1200番以上で足付けをします。塗装はベース色を塗装しその上にクリアーを塗装して終了ですがベースはボカシが基本な為クリアーしかかからない場所も出てくるわけです。クリアーはベースより大きく塗装しなくてはいけません。サフ研ぎが終わったら調色段階に入ります。自動車メーカーにより様々な外装色が有りメーカーの個性と言うべきカラーリングですが最近パステルカラーやキャンディ塗装、メタリックの細かい物様々有りプロでも嫌がる色もあるくらいです。塗装が難しい物や材料費のかかる物によって金額も様々な塗装ですが昔は白とか黒と単純なソリッド色が多かった為塗装も楽でした♪昨今は技術の伴う塗装がほとんどなので調色も大変ですし、塗装も大変です。まず同じカラーコードでもプロから見れば微妙に違い一つのカラーコードでも10種類以上ある物も存在する為経験と感がともなってきます。プロが使うサイトなどが有りカラーコードを入力するとそのカラーの種類が出てくるのですが0番から何番まで何種類も有り国産は結構有ります。基本0番が基本でその基本色より濃い、青い、黄色い等のヒントを頼りに選びます。勿論色見本がそれぞれ塗料メーカーからも出ていますが見本帳だけで国内メーカーだけ網羅している物でも1万枚とかに及びその値段ば50万円程します。昨今物価高で塗料も倍近い値段で顔色が何百色と有りますが一缶1万円が普通0.9缶で2万、3万する物もある為原色揃えるだけでも100超える塗料メーカーもありますし大変です。皆さんが乗っている車にもカラーコードが有りその色を作るために原色を何種類も入れて作らなくてはその色は出ないのです。配合で作りそこから経験で微調整していくのが調色で塗板に試し吹きし元色に近付けて行くのです。全く同じ色にする事はまず不可能ですが出来るだけ近づけ隣接パネルをボカシて色違いを見えづらくするので塗装しなくていい箇所を塗らないといけないのは多々あるわけです。原色には青だけでも約10種類、赤約10種類、黒にも3種類と数があり、緑、黄色、メタリック原色も細かい物から粗いもので約10種類、パールだけでも白、赤、青、緑、黄色等格数種もあるんですからそりゃ大変ですよ!
鈑金が高い理由はわかってもらえると思います。それでも安く済ませて上げたいと言う信念はありますがプロと名の付く職業はその道のプロだからこそ出来るから技術料と言うものも発生します。素人でも出来るならプロは存在しませんね(^ ^)
話はそれましたが調色が大分近い状態まで持って行けたら塗装する範囲全体に1500番程度でまんべん無く足付けし塗装しない所はマスキングで囲って行きます。マスキング一つでも技術や経験が伴うため大変ですが塗装範囲以外隠したらようやく塗装段階へ入ります。脱脂をしてパネルの汚れも完全に取り、静電気除去をしベースを塗って行きます。まず塗装はシンナー等で希釈している為一回2回塗った程度では染まりません。希釈しないと塗装がしづらい為薄める必要が有ります。カラーコードによっても染まりづらい物や比較的染まりやすい物が有り完全に隠蔽出来るまで塗装しながら少しづつ広げていく様なイメージで塗装ガンとパネルの距離と運行スピードを一定にしながら広げていく感じです。回数毎に少しづつ広げながらサフェーサーを隠蔽しムラなども同時に取っていく様な感じでベースを塗装し良く確認しつつ進めます。毎回塗ったら適度な時間を取らないと塗料が垂れてくるので半艶位で毎回塗装し乾いたらまた重ねるの繰り返しです。
ベースが終われば乾いているのを確認しクリアー塗装に移ります。クリアー塗装は艶出しとベースの硬化が目的です。今主流の1液ベースは乾くと艶が無くなり、パーツクリーナーやシンナー、ガソリン等かけてしまうと簡単に落ちる性質があります。1液とは硬化剤を入れない物、2液は硬化剤を入れて塗装する物で2液は染まり、艶も出ますがムラになり易くトラック等に使われ、乗用車には基本一液が使われメタリックなどはムラになりづらい利点が有ります。艶は出ないのでクリアーで補います。クリアーは硬化剤を使用します。最初から艶は出さず捨て吹きといいパラパラかかるイメージ。最初から艶を出すとベースが泳いだりしてしまう為半艶程度を最低一回塗装し少し置きます。少し乾いてきたら約8部艶程度で均等に塗装して行きまた乾かします。(ベース、クリアーインバーバルは10分程度)
捨て吹き含め3回から4回で終わる感じで塗装しますが垂らさない様に塗装するのも結構難しい物です( ̄▽ ̄)これも経験が物をいいます。塗装と下地で分かれている会社もあるのはそれだけ全行程難しいのとオールマイティーに出来る職人も減っているのもあると思います。下地と塗装は別物だからこそエキスパートに任せると言った所でしょうか(^ ^)プロでも失敗はしますけどね(^ ^)鈑金塗装は環境や温度、湿度にも左右されますから。季節やその日の天気やらで少しやり方を変える必要が有りますね。
塗装ブースでやればあらゆるリスク軽減出来ますがこれも1000万から5000万位かかるのでお金のかかる職業です。
クリアー塗装したら最低1日乾燥させ磨き工程に入ります。塗装で着いたゴミ等1500番から2000番で平に削り磨きます。番手を徐々に高くして行けば磨きも楽になります。
まずは研磨力の高いシングル回転のポリッシャーで磨いていくのですがシングルとはただの真円回転の為研磨力は有るがオーロラと言う物が出ます。これは太陽の光に当てると磨いた後がオーロラの様に出るのでペーパーの目を消した後、ダブルアクションやギアアクションポリッシャーで仕上げます。ダブルやギアアクションは乱回転させて研磨して行くのですがオーロラは出づらくなるので研磨力の高いシングルを使い仕上げでギアアクションなどを使い仕上げます。鈑金塗装の道具も様々有り下地の道具から塗装ガン、ブースや修正器といい環境で仕事をしたいのなら相当のお金が掛かりますね。。。
磨きが終われば後は洗車して終了となります。これが鈑金塗装の一連の流れになりますが。やり方も人それぞれもっと適当な業者も居ればもっと丁寧な業者も居ますので参考までに。
最後まで読んでいただきありがとうございます♪
文章に自信がない為読みづらいかもしれませんがご了承下さいm(_ _)m

株式会社OWL
茨城県水戸市平須町2-162
代表 石井聡
09023308964

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